高血圧
高血圧は、喫煙と並んで、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因です。もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されています。高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧(甲状腺や副腎などの病気、睡眠時無呼吸症候群)とがあります。
本態性高血圧は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。なかでも、日本人にとって重要なのは、食塩の過剰摂取です。
診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。家庭血圧の場合は、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます。
不整脈
不整脈には、脈が速くなる“頻脈”、脈が遅くなる“徐脈”、予定されていないタイミングで脈が生じる“期外収縮”があります。
命に関わる危険な不整脈として“心室細動”や“持続性心室頻拍”などがあります。
徐脈性不整脈では“完全房室ブロック”、“洞不全症候群”などがありペースメーカー治療が必要となります。
12 誘導心電図は 30 秒ほどの検査である一方,ホルター 心電図は 24 時間の記録が可能であり、不整脈出現状況がわかります。
心不全
「心不全」とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。
心不全の主な原因としては心臓の機能に原因がある場合(虚血性心疾患、心筋症、心筋炎、心臓弁膜症、不整脈、先天性心疾)、心臓の機能以外に原因がある場合(高血圧、貧血、腎臓病、悪性腫瘍に対する化学療法・放射線療法、甲状腺機能亢進症・バセドウ病、過度のアルコール摂取、ウイルス感染症、薬物中毒)があります。
疾患の内容によって、治療方法は様々です。
心不全の診断においては、症状、既往歴、家族歴、身体 所見、心電図、胸部X線、 血中 BNP/N末端プロ BNP (N-terminal pro-brain natriuretic peptide; NT-proBNP) 値の測定、心エコーが有用です.
弁膜症
弁膜症の治療方針はエコーによる機序診断や定量評価に加え,臨床的な評価を総合して決定され、特に症状の 有無は治療方針に大きく影響します。一般的に慢性弁膜症は経過が緩徐で あるため,無意識に症状が出るような活動を避けるよう になり,患者が症状を自覚していないことがあります.特に 高齢者ではこのような傾向が強く,注意が必要です.
狭心症
狭心症とは、心筋(心臓を構成する筋肉)に血液を行き渡らせる“冠動脈”が狭くなることにより、一時的に心筋が酸素不足に陥って胸の痛みや圧迫感を引き起こす病気のことです。
狭心症の特徴的な症状は、胸の痛みや圧迫感が引き起こされる“発作”が生じることです。
特に胸の痛みは、1か所にとどまらず、左肩、左腕、顎、歯、背中、腹部などに響くように放散することが特徴で、なかには胸の痛みを感じずに別の部位のみに痛みが生じるケースもあります。また、冷や汗や吐き気、めまいなどの症状を伴うことも少なくありません。
また、突然の冠動脈の過収縮により一過性に冠血流 が低下し,心筋虚血をひき起こす冠攣縮性狭心症といった狭心症もあります。